「ごめ――…」
謝ろうしたけれど、全身ずぶ濡れになっていたあたしは、うまく声を出せずに咳き込んでしまった。
「大丈夫か?」
しばらくして咳が落ち着き、ようやく顔をあげれるようになってから小さく頷く。
すると、佐野くんの怒ったような顔がほんの少し和らいだ。
「あんまり心配させんなよ」
「ごめんなさい」
一日に二度も溺れかけて助けてもらうなんて。ばつが悪くて、小さく肩を竦める。
「まぁでも、それ貸したの俺だし。半分は俺のせいか」
反省していると、佐野くんが申し訳なさそうに頭を掻いた。
「このスウェット、佐野くんのだったの?」
「そうだよ」
「そっか。濡らしちゃってごめんね。洗って返す」
すっかり濡れて肌にへばりつくスウェットの裾をパタパタと振っていると、ふと頭の隅に疑問が湧いた。
「あれ、じゃぁこれを着せてくれたのって……」
「あぁ、俺。早瀬、意識失ってたから着せるの大変だった。俺、どっちかというと脱がす方が得意なのに」
佐野くんがあたしを見上げてにやりと笑う。
「ちょ、何言って……」
彼の言葉に、顔からばっと湯気がたちそうなほど赤面する。



