透明な青、揺れるオレンジ


え……!?今、何て……?

人工呼吸!?


すぐ傍にはにやにやと笑う佐野くんの顔。

口角の上がった佐野くんの唇に、あたしの視線が囚われる。

つまりあたしは、溺れて意識を失っている間に佐野くんとキスしたってこと!?

キスするのは、テストに合格したらって話じゃなかったっけ。

いや、合格したってキスなんかできないから断ろうと思ってたのに。

それがまさか……

「え!?さ、の……え……!?」

パニックに陥ってしまったあたしの口から、訳の分からない言葉が飛び出す。


「ぷっ……」

焦ってあたふたとしていると、佐野くんが声に出して吹き出した。


「嘘だよ、バァカ。水を飲んでたけどちゃんと呼吸はしてたからな。俺は早瀬を水の中から引き上げただけ」

佐野くんがあたしを見てケラケラと笑う。


「お前、ほんとおもしろいよな」

あまりに佐野くんに笑われて、あたしは顔を真っ赤にしながら頬を膨らませた。


「そんなからかい方ひどい!」

あたしが頬を膨らませたまま顔を背けても、佐野くんはまだケラケラと笑い続けていた。