泳いでいる佐野くんに見とれていると、彼が水面から顔を出してあたしが立っている方に近づいてきた。
「早瀬。やっと目ぇ覚ましたのか」
佐野くんは水泳キャップを脱ぐと、ゆるゆると頭を振った。
彼のオレンジ色の髪の先から弾けるように飛ぶ水の粒が夕方の太陽の光に反射する。
それはキラキラとして、昼間と違った輝きを放った。
「もう大丈夫か?」
佐野くんがプールの中からあたしを見上げる。
「うん、大丈夫」
頷くと、佐野くんがにこりと笑った。
佐野くんの笑顔に、あたしの胸がきゅんと小さな音を立てる。
あたしは佐野くんとの距離が近くなるようにプールサイドにしゃがんだ。
「ありがとう。佐野くんが助けてくれたんでしょ?イチ先に聞いた」
笑いかけると、佐野くんはプールの中からじっとあたしを見つめた。
「佐野くん……?」
顔に穴が開きそうなくらい見つめられて、自然と顔が赤くなる。
名前を呼ぶと、佐野くんは意味あり気な顔をしてにやりと笑った。
「どういたしまして。よかったな。俺の人工呼吸のおかげで助かって。感謝しろよ」
佐野くんの口から飛び出した言葉に、あたしの目が点になる。



