佐野くんが……?
市川先生の言葉に、あたしは大きく目を瞠る。
「佐野くんはどこに……?」
「あぁ、まだ一人でプールに残ってるよ。そんなに熱心に練習するなら、あいつも県大会の選抜試験受けたらいいのになぁ」
市川先生はぼやくようにそう言いながら、建物を出て行った。
あたしはダボダボのスウェットの裾を引きずりながら管理室を出ると、まだプールで練習しているという佐野くんの様子を見に行った。
テスト中に溺れたあたしは随分と長く寝ていたようで、熱くプールを照りつけていた太陽は既に西の空に落ち始めていている。
泳いでいる佐野くんを見つけると、あたしは彼が泳いでいるコースの近くに立った。
ゆったりとした綺麗なフォームで泳いでいる佐野くんをじっと見つめる。
昼間は透明な青だったプールの水は、沈みかけている太陽の光で少しオレンジがかっていた。



