あたしは気持ちを奮い立たせると、水の中でバランスを整えようとした。
身体が浮くように頭をぐっと水中に深く入れて足を動かす。
そのとき、足の甲の筋がつんと突っ張るように伸びた。
痛っ!
攣った……!?
足を庇おうとして腕を動かすと、身体のバランスが崩れる。
そのままずぶりと身体がプールの底に沈んだ。
身体が沈むと同時に、口や鼻から水がごぼごぼと大量に入り込んでくる。
プールは足がちゃんと着く深さのはずなのに、水を大量に飲み込んだあたしは水の中ですっかりパニックになっていた。
もがけばもがくほど、息が苦しくなって水面に上がれなくなる。
苦しい……
パニックになった頭に蘇るのは、幼い頃に感じた恐怖。
あのときと同じ。
うまく呼吸ができない。
手足が重い。
水の中から抜け出せない。
苦しい。
助けて。
くるし……
そう思ったのを最後に、意識が途切れた――