「教えてやった俺が言うんだから間違いない」
佐野くんが自信たっぷりに言う。
「けど、正直50メートルはきついだろ?だから、今回は25メートルで見逃してくれるようにイチ先に頼んどいた」
「ほんと!?よかった」
「お前が残りの夏休みを楽しく過ごせるのは全て俺のおかげだからな。感謝しろよ」
佐野くんがアイスキャンディを齧りながら、えらそうに笑う。
「ていうか俺、お礼にお前から何かしてもらってもいいくらいじゃない?」
確かに、佐野くんの言うとおりかも。
テストに合格したら、あたしもちゃんとお礼したい。
「そうだね。あたしにできることなら何なりと」
アイスキャンディの棒をキュッと握りしめて力強く頷くと、佐野くんがいたずらっぽく目を細めた。
「じゃあ、何かすげぇことしてもらお」
「すごいことって?」
「んー。エロいこととか?」
「え!?」
大きな声をあげて過剰に反応したあたしを見て、佐野くんがケラケラと笑う。
「まぁ、何か考えとくから楽しみにしといて」
からかうような佐野くんの笑い声。
何させられるんだろ。
胸に小さな不安を感じながらも、楽しそうに笑う彼から目が離せず、その横顔をじっと見つめてしまう。



