「じゃぁ俺もやめよっかな。着替えたら、プールの入り口で待ってて。今日もアイス食わない?」 「アイス?」 昨日佐野くんと一緒に食べたオレンジ味のアイスキャンディを思い出すと、あたしは嬉しくなって頷いた。 「じゃぁ、あとでな」 更衣室に向かって歩き出す前に、佐野くんがあたしの頭にぽんと手の平を載せていく。 今佐野くんの手…… 立ち去る彼の背中を見送っていたあたしの頭に急激に血が昇る。 あたしは慌てて肩に掛けていたタオルを頭から被ると、熱くなった顔を隠した。