気になって顔を上げると、あたしの手はいつの間にかプールの壁の縁を掴まされていて、あたしの足先に佐野くんの手が触れていた。
彼に掴まれている足先に、あたしの全神経が集中する。
足先から発熱しそうになっていると、あたしと目が合った佐野くんがにっこりと笑った。
「今の感じ、分かった?」
佐野くんのオレンジ色の髪が、彼の笑顔にやけに綺麗に映えて眩しい。
あたしは頷くと、じわじわと顔が赤くなるのがばれないように、水の中に鼻の下まで顔を沈めた。
「じゃぁ、次は壁なしで。一人で泳いでみろよ」
佐野くんはさっきから、人の手を掴んだり足を掴んだり。そういうことをものすごくナチュラルにやってのけるけど。
なんとも思わないんだろうか。
鼻の下までを水に沈めたまま佐野くんの指示を聞いていると、彼が訝しげにあたしを見下ろした。
「早瀬、何ふざけてんの?河童の真似?」
佐野くんに呆れた顔で見られ、あたしは水面から顔を出した。



