一週間前、あたし達の高校は期末試験を終えて夏休みに入った。

それなのに、あたしはほぼ毎日のように学校のプールにいる。


プールサイドには、あたし以外にも十数名の同級生達。


夏休みにも関わらずプールサイドにいるあたし達は、水泳部の部員……

ではなく。

一学期末の体育の水泳の授業で実技試験が不合格だった補習組みだった。


実技試験は、クロール50m。

合格の条件は、とにかく最初の25mはプールの床に足を付かずに泳ぎ切ること。

50mを足を付かずに泳ぎきれれば試験は高得点で合格。

でも、最初の25mさえきちんと泳ぎ切れたら残りの25mは途中で足をついてしまっても一応合格。

最初の25mを泳ぎきることができなかった生徒達がこうして夏休みにも関わらず補習に呼び出されている。

補習中は自分が「できる」と思えばいつでも再試験をしてもらえる。

それに合格すれば、晴れて補習授業から解放されるのだけど……

25mどころか、10mもまともに泳げないあたしは、再試験に合格できる気がしない。