諦めて顔をあげようとすると、佐野くんがあたしの頭を抑えてそれを阻止した。
佐野くんの片手があたしの手から離れたことで、急に不安になる。
床に足をつこうとすると、佐野くんが厳しい声で言った。
「足つくな」
少し怒っているようなその声にびびったあたしは、足をばたつかせてもう一度身体を浮かそうとした。
あたしにしては長い時間、水に顔をつけているからだんだん息が苦しくなってくる。
苦しいと思えば思うほど、身体も沈む。
どうやったって浮くはずがない……
そう思いながら、水の中で足をばたつかせていると佐野くんの声が聞こえた。
「もっと頭を水の中に入れて」
そう言ったかと思うと、あたしの頭をさらに水の中へと押し込む。
その衝撃で、鼻から思い切り水が入った。
あたしを殺す気!?
耐え切れず、今度こそ床について足を水から顔を出そうとしたとき、もう一度佐野くんの声がした。
「早瀬、おへそを見るイメージで顎を引いてみな」



