透明な青、揺れるオレンジ



水に顔をつけると、佐野くんがまたあたしの手をぎゅっと握ってくれた。


「早瀬、ゆっくり息吐いて、息が続かなくなったら落ち着いて顔あげて」

佐野くんがあたしの耳に顔を近づけて話す気配がする。


「手、離さないから」

届いてきた彼の声に、不思議とすっと肩の力が抜けた。


ゆっくり息を吐いて、落ち着いて。

繋がれた佐野くんの手を、ぎゅっとつかむ。

手のひらに触れる彼の手の感触。

それだけを信じて、あたしは水の中でゆっくり息を吐くとそれが続かなくなったところで顔をあげた。

最後のほうは少し息が苦しかったけど、水の中に顔をつけていてもさっきほどの不安を感じなかった。

それはきっと、まだ繋がれたままの彼の手のせいだ。


「な、大丈夫だっただろ?」

佐野くんがあたしの顔を覗き込むように首を傾ける。


大丈夫だった……

佐野くんの手を握りしめたまま、半ば放心状態で頷くと、彼がにこりと笑った。

その場をパッと照らすような笑顔に、心臓がドキリと跳ね上がる。