「今度は絶対失くさないようにするね。ありがとう」
にこりと笑いかけると、佐野くんがじっとあたしを見つめ、それから無言で立ち上がった。
「佐野くん、帰るの?」
追いかけるように立ち上がろうとすると、佐野くんが近づいてきてあたしの身体を抱き上げる。
「ちょっ…佐野くん?」
抱き上げられた腕の中で焦ってジタバタと暴れているあいだに、あたしの身体は保健室のベッドまで運ばれてしまった。
放り投げられるようにベッドに寝かされたかと思うと、すぐに佐野くんもベッドによじ登ってくる。
そしてあたしの上に体重を乗せずに跨ると、悪戯っぽくにやりと笑った。
「そういえば早瀬、さっきここも痛いって言ってたよな」
佐野くんがあたしの左胸を指差す。
佐野くんがそう言って、あたしの左胸を指差す。