透明な青、揺れるオレンジ



保健室のドアを開けると、中はがらんとしていた。


「あれ、先生いないな」

保健室をきょろきょろとして誰もいないのを確認した佐野くんが、ようやくあたしをおろしてくれる。

抱きかかえられている間、自分の体重が重くないかが気になりすぎて、ずっと身体を緊張させていたから、椅子に座らせてもらってようやく肩の力が抜けた。


ほっと息をついていると、佐野くんが保健室の棚を開けて薬箱を探し出してくる。

そこからガーゼを引っ張り出すと、それに消毒液をしみこませてあたしの膝と手の平の傷口につけてくれた。

そして、膝の方にだけ大きめの絆創膏を貼る。


「はい、いいよ」

あたしの足元にしゃがんで治療をしてくれた佐野くんが、顔を上げてにっこりと笑う。

佐野くんがそんなふうに笑いかけてくれるのはひさしぶりのことで、あたしは嬉しくてまた少し泣きそうになった。