「早瀬、泣きすぎ」
泣きながら佐野くんの胸に顔を押し付けると、彼があたしの頭を撫でながら呆れたように笑う。
でも笑いながらも、あたしの涙が落ち着くまでずっと頭を撫でてくれていた。
しばらくしてやっと涙が止まると、それをじっと待っていた佐野くんが、しゃがみ込んでいるあたしの膝の下に腕を入れて抱き上げた。
「じゃぁ、足のケガ治療してもらいに行くか」
あたしの身体を軽々と抱えあげ、佐野くんが歩き始める。
「さ、佐野くん?」
急にお姫様抱っこで抱えあげられたせいで、頬を濡らしていた涙が一気に乾く。
部活の終わった学校にはそんなにたくさん生徒達が残っているわけではなかったけれど、それでも何人かの人達が佐野くんに抱きかかえられているあたしの方をちらちらと見てきて、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。
「佐野くん、見られてる。恥ずかしいよ。あたし、歩くから!」
ジタバタと手足を動かしたけれど、佐野くんはあたしをおろしてくれない。
「ケガしてんだからいいじゃん」
佐野くんは平静な顔でそう言うと、そのままあたしを保健室まで連れて行った。



