卑屈になるあたしを見て、佐野くんが呆れたようにため息をつく。
「その話、聞いたんだ?確かに奈緒のことは大事だけど、でも俺は奈緒じゃなく別のやつが同じ状況になったとしてもそいつのこと庇ったよ」
「でも町村さんは佐野くんのことが――…」
「好きって言われたけど、さっき謝った。奈緒のことは大事だけど、それは早瀬に対する気持ちと違う」
きっぱりとそう言い切って、佐野くんがあたしを見つめる。
その瞳は切なそうに小さく揺れていた。
「俺、早瀬のことが好きなんだけど」
佐野くんのその言葉に、自然と涙腺が緩む。
「嘘……」
「疑ってんの?」
佐野くんが泣き出したあたしの頭を撫でながら優しい声でぼそりとつぶやく。
「そうじゃなくて……嬉しくて」
これからも佐野くんのそばにいられるんだ。
そう思うと胸に熱い感情が込み上げてきて、余計に泣けてくる。



