「機から見ててそんな雰囲気じゃなかったんだよ。そのあともお前と高崎が保健室に一緒にいたり、教室の外でも高崎に手繋がれたりしてただろ」
「あたし、高崎くんと手なんて繋いでないよ?腕引っ張られたことはあるけど……」
「どっちだって触られてんだから同じようなもんだよ」
佐野くんが怒ったようにそう言って、ちょっと顔を赤くした。
「え?」
顔を上げると、佐野くんがあたしの頭をぐいっと自分の胸に引き寄せる。
「そんな顔で見んなよ。子どもみたいな嫉妬してた自分が恥ずかしいから」
佐野くんの胸に寄せたあたしの耳に、少し速い彼の鼓動が聞こえてくる。
嫉妬って、誰が……?
「佐野くん、町村さんと付き合うんじゃないの?」
視線をあげると、佐野くんが怪訝そうに顔をしかめた。
「何でそうなるんだよ」
「だって、さっきふたりで抱き合ってたし」
更衣室のそばで目にした光景。
それを思い出すと、また胸が苦しくなる。
「あれは奈緒が倒れかかってくるからつい支えただけで。ただの事故だよ」
「でも、抱き合ってるふうにしか見えなかったよ。それに、半年前の佐野くんの怪我のことも聞いた。町村さんのこと大切だから、彼女のことバイクから庇ったんでしょ。本当はあたしには、初めからふたりの間に入り込む余地なんてなかったんだよね?」



