「部活始まる前に高崎に怒られた。昨日俺が帰ったあと、早瀬がすげぇ泣いてたって。ちゃんと話も聞かずに一方的に冷たい態度ばっかとってごめん」
「佐野、くん?」
「奈緒のことも、責めたりしてごめん。奈緒を問いつめたら、早瀬がわざと突き飛ばしたわけじゃないってわかった。あれはあいつが俺の気を惹きたくてついた嘘だったって」
「そうなの?」
町村さん、本当のことを話してくれたんだ。
同時に、そんな嘘をついてでも佐野くんの心を惹きつけたかった町村さんの強い気持ちを思い知らされて胸が痛んだ。
「最初は早瀬がそんなことするわけないって思ってた。だけど確認しても早瀬は何の言い訳もしないし。奈緒がプールに落ちた日、放課後遅くにプールに戻ったら早瀬が高崎と肩並べて仲良さそうにしてるのを見て。それでちょっと…というか、かなり苛立って。早瀬のこと少し疑った」
あのとき入り口のほうから聞こえてきた金網の擦れる音は、佐野くんが戻ってきた音だったんだ。
「声かけてくれたらよかったのに。あたしと高崎くんは別に……」
ただ、プールの底にオレンジのストラップが沈んでいないか探してただけなのに。



