透明な青、揺れるオレンジ



「それは、やだ」

「だったら行ってくればいいじゃん。じゃなきゃほんとにとられちゃうかもよ?マネージャーの1年に」


千亜希が意地悪くそう言って、プールを指差す。

彼女が指すその先を辿ると、仲よさそうにプールサイドに並んで座る佐野くんと町村さんの姿が見えた。


「それも、やだ」

俯いて窓枠を両手でぎゅっと握り締めていると、千亜希があたしの背中をぽんっと叩く。


「じゃぁ今すぐ行ってきなよ」

昨日の佐野くんの冷たい声と眼差し。

町村さんに言われた言葉。

思い出すと、また胸が詰まって泣きそうになる。


「それは無理だよ」

涙混じりになって、声が震える。

それを聞いた千亜希があたしの両肩をつかんだ。


「碧?何があった?」

千亜希が心配そうにあたしの顔を覗き込む。

彼女と目が合うと、ぎりぎりで堪えていた嗚咽が漏れた。

手で口元を覆って、首を振る。


「碧、大丈夫?」

千亜希が優しい声音でそう言って、あたしの頭を撫でる。

そんなふうにされると、もうダメだった。


「千亜希、あたし……」

千亜希の腕を両手でつかんで、その肩に顔を押し付ける。

そうして彼女に縋りながら、しばらく泣いた。