透明な青、揺れるオレンジ



千亜希が窓際に居座ったまま帰ろうとしないから、あたしも仕方なく彼女の隣に並んで窓から外を覗き込む。

プールには既に水泳部の部員達が数人集まってきていた。

千亜希と並んでプールを見ていると、徐々に人が増えてきていつものように練習が始まる。

顧問の市川先生が吹く笛の音が、教室まで微かに響いてきた。

あたしは自然と、プールの中にオレンジ色を探してしまう。

それはすぐに見つかり、気付くとあたしの目は青いプールの波間をちらつくオレンジ色ばかりを追いかけていた。

プールを何往復かすると、そのオレンジ色がプールサイドに上がってくる。


市川先生の吹く笛の音が響いて、佐野くん以外の部員達も順番にプールから上がってきた。

頭をゆるゆると振りながらプールサイドを歩いている佐野くんをじっと見つめていると、千亜希がぼそりと呟いた。


「練習終わったのかなぁ。けど、遠目で見ててもかっこいいよね。佐野くん」

その言葉に反応して眉をしかめると、千亜希がクスクスと笑った。


「ねぇ。碧がこのまま放っておくんだったら、あたしが奪いに行くよ?」

千亜希が冗談かそうじゃないのかよくわからない目であたしを見ながら、ちょっと首を傾げる。