透明な青、揺れるオレンジ



「え……」

何、この状況……

あたしの手を包む、佐野くんの大きな手。

小さく波打つプールの水面で繋がれたそれを見つめて硬直していると、佐野くんがほんの少しあたしに顔を寄せてきた。

その距離に焦って身を反らすと、佐野くんが小さく首を傾げる。


「大丈夫。俺、何があっても絶対早瀬の手、離さないから」

首を傾げながら笑う、彼のオレンジの髪の先からそこについた水が水滴になってきらりと光って落ちる。

佐野くんの表情とその言葉に、あたしはなぜか無条件にドキドキしてしまって、彼とうまく目を合わせられなかった。

佐野くんは遠くで見ててもかっこいいけど、水に濡れてるせいか、近づかれると彼の持ってる色気みたいなのが増して、さらにかっこよく見えた。

そりゃ、千亜希が騒ぐわけだ。

て言うか、「何があっても手を離さない」とか。

シチュエーションが違えば、最高の殺し文句だと思う。