そんなの嫌だ。
そう思ったけど、彼女はあたしに反論する隙を与えなかった。
「まぁ、このままなら翠都のほうがあなたと別れるって言うかもしれませんけど」
町村さんが唇を歪めて意味ありげに笑う。
何それ、どういうこと……?
「じゃぁ、失礼します」
青ざめるあたしに町村さんが軽く会釈する。
最後に冷たい目であたしを一瞥すると、彼女は早足であたしの前から立ち去った。
だんだんと遠ざかっていく彼女の背中を見送るあたしの鼓動が、ドクドクと早鐘を打つ。
短い時間でいろいろなことがたくさん起こりすぎて、心の整理ができない。
胸が締め付けられて、ギュッと狭くなる。
熱いものが頬を伝い、首筋へと流れる。
頬に手をあてると、そこはいつの間にか涙で濡れていた。



