「怪我したら、小さいときから頑張ってる水泳がしばらくできなくなる。それなのに、あたしのことを優先してくれてすごく嬉しかった。翠都はあたしのことを大事に思ってくれてるんだって感じた。翠都の一番はあたしだって思えた。それなのに――…」
あたしを見据える町村さんの目つきが鋭くなる。
「それなのに、どうしてあなたが翠都の彼女になってるんですか?」
町村さんを見つめ返したまま、あたしは何も言えなかった。
佐野くんの腕の怪我にそんな経緯があったなんて。
ショックが大きくて、頭がうまく働かない。
「この前プールに落ちたときだって翠都はあたしのことを助けてくれて、あなたじゃなくあたしの話を信じてずっとそばについててくれた」
続けて聞こえてくる町村さんの言葉が、さらにあたしを混乱させる。
「早瀬先輩。翠都と別れてください」
町村さんが強い口調で言い放つ。



