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「じゃぁ、気をつけて帰れよ」
「ごめんね、ありがとう」
部室に荷物を取りに行くという高崎くんと、昇降口で別れる。
校舎の外に出ると、外気に触れた目の周りがヒリヒリと痛む。
ここ最近で一番泣いたかも。
「翠都とうまくいかなくなったら今度は高崎先輩ですか?」
泣き腫らした目に触れながらため息をついていると、後ろから誰かに声をかけられた。
いつからそこにいたんだろう。
振り向くと、町村さんが唇を歪めて皮肉っぽく笑った。
「調子いいんですね。早瀬先輩って」
「町村さん」
「翠都、ちょっと前に怖い顔してひとりで帰って行きました。あたしが声をかけてもそんなの全然聞こえてないって感じで。部活中に一緒に帰る約束したのに、そんなのすっかり忘れちゃったみたいで。置いていかれました。それって早瀬先輩のせいですよね?」
町村さんがあたしを睨むように見据える。
敵意を剥き出しにした彼女の目が怖かった。



