「翠都、ちょうどよかった。今俺達も部室に――…」
「何してんの?」
佐野くんの低い声が笑顔の高崎くんの言葉を遮る。
「何って、これから帰るんだろ」
高崎くんがそう言うと、佐野くんは額に落ちてきた前髪を手の平で掻きあげながら小さく息をついた。
そして、高崎くんにつかまれているあたしの手に視線を落とす。
「何か最近仲良さそうだよな、お前ら」
「は?何言ってんだよ、翠都。お前らの様子がいつもと違うから、俺は心配して……」
「ほんとにただ心配なだけかよ。だったら、相当なおせっかいだな」
佐野くんが嘲るようにふっと笑う。
感情を抑えるように終始低い声で話す佐野くんの言葉には、いつもと違って棘があった。
「なんだよ、それ」
佐野くんの態度に、高崎くんがムッとするのがわかる。
けれど佐野くんは眉を寄せて顔をしかめている高崎くんには構わず、あたしに冷たい視線を向けた。
赤の他人でも眺めるような、佐野くんの冷めた瞳。
それが、あたしの胸を苦しくさせる。



