「何だ、ちゃんと話しできてるみたいでよかったじゃん」
高崎くんはにこにこと笑いながら近づいてくると、親しげにあたしの肩をぽんっと叩いた。
「あ、いや……」
まだ話はできてなくって……
けれど高崎くんは当然そんなことには気付かずに、あたしと佐野くんの間に割り込んでくる。
「あ、そういえば足の痛みがだいぶひいてきててさ。早瀬さんが湿布貼ってくれたおかげかも」
「そうなんだ。それはよかった」
戸惑いながらも愛想笑いを浮かべていると、佐野くんがふいっとあたしから背を向けた。
「あ、佐野くん!」
慌てて呼び止めたけれど、佐野くんはあたしの方を振り返らない。
佐野くんは自分の席に戻って鞄をつかむと、あたし達の傍を無言ですり抜けた。
「おい、翠都」
高崎くんが呼びかけると、佐野くんが無表情で振り返る。
「俺、部活行くわ。高崎、足のケガで部活出れないんなら、そこでずっと喋ってれば」
佐野くんは冷たい声でそう言うと、あたし達を置いてさっさと歩いて行った。



