顔を赤くして首を振りながら立ち上がると、高崎くんが手に持っていた鍵を顔の横でゆらゆらと振った。
「何見てたのか知らないけど、そろそろ閉めていい?」
「あ、うん。どうぞ」
「プールの中に、何かいた?」
「うん、ちょっと……」
「マジで?何?河童とか?」
高崎くんが少し身を乗り出して、プールを覗き込みながら笑う。
「いや、そうじゃなくて……ちょっと落し物したかもしれなくて」
「落し物?何落としたの」
「大したものじゃないんだけど……あそこに光ってるものが怪しいなぁなんて思って」
さっき見つめていたプールの真ん中辺りを指差すと、高崎くんは「あぁ」と納得したように頷いた。
「あれ、プールの底の真ん中の目印。そういえばちょっと光ってるかもね」
「そうなんだ」
がっかりとして肩を落とすと、高崎くんが小さく首をかしげた。



