そうしている間に、さっきまで騒然としていたプールに日常が戻ってくる。
水泳部の部員たちは、準備体操をしてプールでそれぞれの練習をし始めた。
あたしはしばらくプールサイドに立ってその光景を見つめたあと、いつも座る見学用のベンチに腰をおろす。
そして、佐野くんが練習に戻ってくるのを待った。
けれど、部活の練習時間が半分を過ぎても部員達が練習を終えてシャワーを浴びに行きはじめても、佐野くんはプールに戻ってこなかった。
「早瀬さん。全員が着替えたらプールの鍵閉めちゃうから、適当に外に出てね」
水泳部の練習が終わってもベンチから立ち上がらないあたしに、高崎くんが声をかけてくれる。
「わかった」
そう返事はしたものの、あたしは佐野くんのことが気になってなかなかベンチから立ち上がることができなかった。



