透明な青、揺れるオレンジ



安堵すると同時に、彼女を突き飛ばしてしまうことになってしまった原因を思い出して、プールサイドについた彼女の手に視線を移す。

見る限り、彼女の手には何もつかまれていない。

こんなときに不謹慎だけど、彼女の手からあたしの大切なものが消えてなくなっていることが気になった。

町村さんの顔色もよくなってきているし、少し聞いてみようか。


「あの、町村さん。千切れたあたしのストラップは?」

町村さんの手元を見ながら遠慮がちに訊ねると、予想外にも、彼女の背をさすっていた佐野くんが怖い顔であたしのことを睨んだ。


「早瀬。何のことか知らないけど、今はそれどころじゃないだろ」

「え……」

急に佐野くんに睨まれて、あたしはビクリと肩を震わせる。