透明な青、揺れるオレンジ



苦しそうに咳き込む町村さんのことが心配で仕方なかったけれど、少しすると彼女の様子は落ち着いてきた。


「驚かせてすみません」

咳が止まった町村さんが、申し訳なさそうに笑う。

彼女の表情に笑顔が戻ったのを見て、ようやくあたしもほっとした。


「あたしも、ごめんね」

「どうして奈緒がプールに?」

町村さんの背中をさすりながら、佐野くんが険しい表情であたしを見つめる。


「あたしの不注意なの」

悪いのは余計なことをしたあたし。

偶然佐野くんがきてくれたからよかったけど、あたししかいなかったら町村さんをすぐに助けられなかった。

うつむいて反省していると町村さんがあたしに優しく声をかけてくれた。


「早瀬先輩、気にしないでください」

顔をあげると、町村さんが微笑む。

彼女の顔色はさっきよりもずっと良くなっていて、大事に至らなくて本当によかったと思った。