無心になって掬っていると、ゴミ袋を持って戻ってきた町村さんがあたしの傍にしゃがんだ。
「早瀬先輩、ありがとうございます。あとはここに入れて、捨てちゃいましょう」
町村さんはゴミ袋の口を大きく開けると、あたしから虫取り網を取ってそこに溜まった葉っぱをガサゴソと移し始めた。
手持ち無沙汰になったあたしは、町村さんの作業を傍でじっと見守る。
網の中に溜まった葉っぱを一通り袋に移し終わると、町村さんが立ち上がった。
それにつられるように、あたしも立ち上がる。
ちょうどそのとき、プールの入り口の方から人の話し声が聞こえてきた。
ミーティングを終えた水泳部の人達が集まり始めたらしい。
あたしは入り口を振り返ると、佐野くんの姿を探した。
けれど、そこにはまだ目印になるオレンジ色の髪が見えない。
プールの淵で少し背伸びをすると、町村さんがあたしの後ろで「あっ」と小さく声を漏らした。



