そしてあたしの耳元に唇を寄せると、囁くように言う。
「早瀬。今度はちゃんと全部見せろよ」
「へ?」
今度は全部って……
佐野くんの言葉の意味を一人で想像しまい、身体中の血が一気に頭に昇る。
「あ、お前今やらしい想像しただろ」
真っ赤になったあたしを見て、佐野くんがからかうようにケラケラと笑う。
「だって、佐野くんが……」
ふて腐れて唇を尖らせると、佐野くんがあたしの頭に手の平を載せた。
「お前、ほんとおもしろい」
佐野くんのその言葉に、あたしは少し複雑な気持ちになる。
あたしは佐野くんにとって、『おもしろい人』なの――?
ふて腐れ続けていると、佐野くんがまたぎゅっとあたしを抱きしめてくれたからあたしも彼の背中に腕を回してぎゅっと抱きついた。



