何度も角度を変えながら落とされる佐野くんの優しくて深いキスは、水に濡れて冷たくなったあたしの身体を熱くする。

鼓動がどんどん速くなる。


佐野くんはあたしに何度もキスをしたあと、その唇をあたしの首筋へとすっと動かした。

首筋から鎖骨へと佐野くんの唇がゆっくりと伝う。


「……っ」

首筋をなぞる初めての感触に、あたしの口から思わず小さな声が漏れる。

すると佐野くんはあたしの腰に回していた手をそっとジャージの中に入れて、その指で腰の線をなぞり始めた。

いつもと違う佐野くんの行為にびくっと身体を震わせると、彼があたしの首筋から唇を離す。

心臓をドキドキと鳴らしながら、大きく目を見開いて佐野くんを見つめると、彼が少し困ったように笑った。


「ごめん。びっくりした?」

佐野くんのその笑顔が少し淋しげに見えて、あたしは慌てて首を横に振る。

佐野くんはそんなあたしをしばらくじっと見つめると、いつものようににっこりと笑ってあたしのことを力いっぱい抱きしめた。