「さ、佐野くん!?」
もしかして、見てた――!?
「やっぱ、サイズでかいよな」
口をぱくぱくとさせながら佐野くんを見つめるあたしに、彼が平然とした顔で言う。
「な、何であっち向いてないの?」
声に動揺を隠せないあたしを見て、佐野くんがにやりと笑う。
「向いてたよ」
「じゃぁ何で今こっち見てるの?もしかして最初から見てたの?」
顔を真っ赤にしながら訊ねると、佐野くんが今度はにっこりと笑った。
「見てないよ。見たのは、ジャージの上を羽織る直前の背中だけ」
佐野くんがそう言ってあまりに爽やかな笑みを浮かべるから、あたしは何も言えなくなった。
「もう」
頬を膨らましてそっぽ向くと、佐野くんがまた声を立てて吹き出す。
「早瀬。こっち来て」
呼ばれて振り向くと、佐野くんが優しい笑みを浮かべながらあたしに手招きをしていた。
またからかう気かな……
少し警戒しながら、ジャージの丈を引き摺って佐野くんに近づく。



