「お前、ほんとおもしろいよな。後ろ向いとくから、終わったら声かけて」
佐野くんはケラケラと笑いながらそう言うと、ベンチに座ったままぐるっとあたしに背を向けた。
「もう、からかわないでよ」
あたしはまだ赤い顔を手の平で仰いで冷やすと、佐野くんに背を向けて着替え始めた。
濡れたブラウスやスカートは動く度にべたべた肌に張り付いてきたけれど、佐野くんを待たせないようにできるだけ急ぐ。
男物のジャージだから足の丈は踏んづけてもまだ余るくらいで、袖もたくし上げないと不自由なくらい長かった。
「佐野くん、着替えたよ」
ジャージの前のファスナーを閉めて、佐野くんに声をかけながら振り返る。
当然そこにはあたしに背を向ける佐野くんの姿があるとばかり思っていたのに、なぜか彼はあたしの方を向いてベンチに座っていた。



