「あたしが間違えてシャワーの栓を開いちゃって……」
あたしの代わりに町村さんが詳しい事情を説明すると、佐野くんはあたしを見て呆れたように笑った。
「お前、ほんとどんくさいよな」
「だって……」
「体育のジャージとかあるならそれに着替えてくれば?そのままじゃ帰れないだろ」
「え、それは恥ずかしい」
佐野くんの提案に首を横に振り続けていると、プールの入り口でフェンスの金網が擦れる音がした。
「お前ら、何してんの?」
そう言って、ふらふらとプールサイドに入ってきたのは高崎くんだった。
明るい声で呼びかけてきた彼は、びしょ濡れになっているあたしを見ると驚いたように目を見開く。
「わ、早瀬さん。どうしたの?」
「あたしが早瀬先輩がいることに気づかずに、間違えてシャワーの栓開いちゃったんですよ」
「えー、災難」
あたしの代わりに説明してくれた町村さんの言葉に、高崎くんがわざとらしく身震いする。
「でも、派手に濡れたな」
高崎くんはそう言うと、あたしの全身をしげしげと見つめた。



