透明な青、揺れるオレンジ



佐野くんと高崎くんはじゃれるみたいな言い合いをしばらく続けたあと、シャワーの傍にいる町村さんに声をかけた。


「奈緒ちゃん、俺のタオル用意しといて」

高崎くんの呼びかけに、町村さんが笑顔で振り返る。

そのタイミングで、佐野くんも彼女に手を振りながら声をかけた。


「あ、奈緒。俺のも」

他の部員達が町村さんに『奈緒ちゃん』と声をかけるなか、佐野くんだけは当たり前みたいに彼女を『奈緒』と呼ぶ。


「高崎先輩、翠都先輩。了解です」

町村さんも、高崎くんのことは『高崎先輩』なのに、佐野くんのことを当たり前みたいに『翠都』と呼ぶ。

ふたりは幼なじみだから。

頭ではそのことをよく理解している。

そのつもりなのに……

町村さんの明るい声が返ってきたとき、あたしは自分の鼓動がドクドクと激しく脈打つのを感じた。

それは、さっき町村さんの意味深なつぶやきを聞いたせいかもしれない。