「碧、今日も練習見に行くの?」


放課後。鞄を持って教室を出ようとすると千亜希が話しかけてきた。


「うん。水泳部が学校のプールで練習するの、10月の初めまでなんだって。だから、それまではできるだけ見に行こうかなって」


あたしの学校の水泳部は、10月初旬までは学校のプールで練習して、寒くなり始めたら筋トレメインになるらしい。


でも全く泳がないわけじゃなくて、冬の間は週に何日か市営の温水プールを借りて練習するそうだ。

市営プールで練習を始めると、太陽が反射するキラキラとした水の中を泳ぐ佐野くんがしばらく見れなくなる。


だから最近のあたしは、放課後になるとプールに通いつめていた。

嬉しげに笑うと、千亜希がにんまりとする。


「へぇ。じゃぁ、前言ってたマネージャーの1年が割り込む隙はないね」

「そう。町村さん、別に普通なの」


たまに佐野くんのことをじっと見ているときがあるけど、必要以上に彼に話しかけることはないし。

見ている限り、町村さんと佐野くんの関係は部員とマネージャー。時々幼なじみという感じ。