透明な青、揺れるオレンジ



それからあたしの目は、佐野くんではなく町村さんばかりを追ってしまった。

彼女は部員達のタイムを計ったり、必要に応じてタオルを渡してあげたりとマネージャーとしてプールサイドをてきぱきと動き回っている。

見ている限り、町村さんのほうから佐野くんに積極的に近づいていって声をかけている様子はなかった。

男女問わず水泳部の部員達に平等に接しているように見える。


本当に、マネージャーがやりたかっただけなのかな。


あたしや千亜希の取りこし苦労だったのかも……


そう思い始めていたとき、練習が終わってプールから上がった佐野くんがあたしの方に近づいてきた。


「早瀬。俺のタオルは?」

「あ、うん」

町村さんが持って行ったことを伝えようと口を開いたとき、佐野くんの前にすっと彼のタオルが差し出された。


「はい、どうぞ。翠都先輩」

にっこりと笑いながらタオルを差し出したのは、いつの間にかあたし達のそばに来ていた町村さんだった。