あたしが頷き、佐野くんが部室の方へと歩いていこうとしたとき、高い声があたし達を呼び止めた。
「すみません」
佐野くんと同時に振り向くと、そこには背が小さくて栗色のショートボブヘアの、可愛い雰囲気の女子生徒が立っていた。
「あたし、マネージャー希望なんですけど…募集してますか?」
彼女が大きな目をいっぱいに開いて佐野くんを見ながら訊ねる。
なんとなく佐野くんに媚を売るようなその瞳に不安を覚えて隣を見ると、彼が彼女を指差して驚いたように口を開いた。
「あれ、奈緒?」
奈緒……?
佐野くんがショートボブの彼女を名前で呼んだことに、衝撃を受ける。
え、知り合い?
戸惑い気味に佐野くんと彼女を交互に見つめる。
佐野くんはそんなあたしの目の前で彼女に近づくと、やけに親しげに微笑みかけた。
その瞬間、ズキンと胸に妙な傷みを感じる。
「お前、こんなとこで何してんの?しかも、やけに改まって声かけてきて。マネージャー希望って何?」
佐野くんが彼女に話しかけながら、ケラケラと笑う。



