透明な青、揺れるオレンジ



佐野くんも泳ぐのをやめてプールから上がると、水泳キャップをとって水を払うようにゆるゆると首を振った。

彼のオレンジ色の髪の先からきらきらと水の粒が飛ぶ。


額に手を当てて髪を掻きあげた佐野くんは、あたしがじっと見ていることに気がつくと振り向いて少し笑ってくれた。


佐野くんの笑顔にときめいて顔を赤くする。


綺麗……



市川先生の方に向かってプールサイドを歩く佐野くんの横顔を見つめていると、あたしの後ろで声がした。


「綺麗――」

「え……?」

一瞬佐野くんに見とれすぎた自分の声かと思ったけれど、そうじゃない。

プールを囲む金網のフェンスがカシャっと背後で擦れる音がしたような気がして振り返る。

けれどそこには誰もいなかった。


でも、一瞬前までそこに誰かがいたという痕跡を残すかのように、金網だけが微かに揺れていた。


誰かいたのかな。

空耳――?


それとも……