気にしてくれたんだ……
佐野くんの気遣いが嬉しくて、肩のところに垂れ下がるタオルの端をぎゅっと握る。
そうしていると、佐野くんはあたしの前をゆっくりと通過するように綺麗なフォームで泳ぎ始めた。
スピードがあるのに、それを感じさせないぐらいゆったりとした手足の動き。
太陽の光が反射するプールの透明な青の波の中。滑るように進んでいくしなやかな身体。
佐野くんの泳ぎはやっぱり、いつも見とれるくらいに綺麗だ。
見ていて少しも飽きない。
佐野くんがあたしの前を何往復目かしたとき、突然大きな笛の音が鳴った。
佐野くんから視線を離して音がした方を見ると、プールサイドで水泳部員達の泳ぎを見守っていた顧問の市川先生が笛を口に咥えて集合をかけていた。
笛の音を聞いた部員達は、泳ぐのをやめて一旦プールから上がる。



