「碧、鳴ってるっぽい」


千亜希に指摘されて制服のスカートのポケットを探りスマホを取り出す。

見ると、メールが一件届いていた。


その内容を見て思わず頬を緩めると、千亜希がにやりと笑いながらあたしの手元を覗き込んでくる。


「あ、もしや佐野くん?」

千亜希はあたし宛てに送られてきた佐野くんからのメールを勝手に読むと、興奮してあたしの肩を何度もバシバシと叩いた。


「えぇ。碧、ずるい!あたしも連れてって」

「だから、佐野くんはあたしの彼氏なの!」


急いで千亜希からスマホを隠して、彼女の肩を軽く押し退ける。


「ケチー」

「ケチじゃないもん」

千亜希と言い合いをしていると、担任の先生が教室に入ってきた。

千亜希はちらっと担任の方に視線をやると自分の席に戻り際に、「でも、近いうちに紹介くらいはしてね」と、性懲りもなくそう言ってきた。