四つんばいになったあたしは、人の波から少しはなれたところで、全校生徒の呆れたような、何とも言えない好奇の目にさらされている。
そのことを自覚した瞬間、あたしは恥ずかしくて顔から火が出そうになった。
とりあえず体勢を変えよう。
急いで立ち上がろうとしたけれど、床に思い切り打ち付けた膝が思ったより痛い。
あたしは顔を真っ赤にして俯いたまま、そのままそこに正座するハメになった。
「碧、大丈夫」
傍にいた千亜希が、あたしの隣にしゃがんで気遣うように手を差し伸べてくれる。
あまりの恥ずかしさに俯きながら千亜希の方に手を差し出すと、すぐ傍で誰かが吹き出す声がした。
「そこで何してんの?」
千亜希が傍で息を飲む音と共に、呆れたような、けれど優しい声が聞こえる。
顔を上げると、そこにはさっきあたしが探していたオレンジ色の笑顔があった。