ワックスで少し立たせたオレンジ色の髪の毛が斜め前方でちらちらと見え隠れする。
見つけた。
そう思ったとき、千亜希が人の波に流れてゆっくりと動いた。
「碧。前、進むよ」
千亜希の肩を支えにして立っていたあたしの身体がぐらりとバランスを崩す。
「あ、ちょっと待って」
残念ながら、そう言ったときにはもう遅かった。
バランスを崩した膝がカクンと折れて、足の裏より先に膝が床へと着地する。
自分の身体が膝から落下していくのをスローモーションで感じたあと、あたしの膝ととっさについた手の平にガンッと鈍い痛みが走る。
「いったぁ」
「碧、大丈夫!?」
悲鳴にちかい千亜希の声に、手と膝を床に着いたまま顔を上げると、さっきまであたしの周りを取り囲んでいたはずの人の波は驚くほど遠くに引いていた。



