頬を引き攣らせながら前の女子たちを睨んでいるうちに始業式は終わり、クラスごとにできていた列がじわじわと広がって乱れていく。
それでもまだその女子たちを見ていると、後ろからぽんっと肩を叩かれた。
「碧(アオイ)?いつまでつっ立ってるの?教室戻ろうよ」
振り返ると、千亜希があたしのことを怪訝そうな目で見ていた。
「あ、うん」
千亜希に促されて渋々頷くと、あたしは彼女と並んで体育館の出入り口へと歩を進めた。
あたし達の学校では、体育館と普通の校舎内では上履きを履き分けなければいけないという規則がある。
そのため、こんな風に体育館で全校集会があるときには出入り口に人が殺到する。
今日も生徒達で込み合っている出口付近で千亜希と肩を並べて順番を待っていると、それまでじわじわと体育館の外へ流れていた人の波が急にピタリと止まった。