「佐野 翠都(サノ スイト)」


名前を呼ばれ、彼がステージへと続く階段を上っていく。

真っ直ぐに伸びた背筋。

体育館の窓から漏れてくる太陽の光に照らされるオレンジ色の髪。


眩しくて目を細めると、ステージに立つ彼は賞状を手渡されて小さく会釈していた。

そのあと、賞状を小脇に抱えた彼がゆっくりと振り返る。


顔を上げて正面を向いた彼のオレンジ色の髪がふわりと揺れる。

その瞬間体育館に小さなさざ波が起ち、それが波紋のように少しずつ広がっていく。

あたしが見つめる視線の先で、綺麗な整った顔立ちをした彼は、ほんの少しだけ口角をあげて微笑んだ。