蜘蛛の巣に囚われた蝶みたいに、俺の手でフェンスに縫いとめられた早瀬が身じろぐ。
「さ、の――…」
俺の名を呼ぶために震える彼女の唇。
それを遮るように早瀬の唇を塞ぐと、彼女の背後でフェンスの金網がカシャリと小さな音をたてた。
絡めた指を金網と共に強く握ると、彼女も同じ強さで応えてくれる。
そんな彼女の些細な行為が俺を欲情させる。
どれだけ唇を合わせても足りない気がして。
貪り食うように何度も唇を合わせると、その度にフェンスの金網が煩く鳴った。
それに交じって早瀬が息苦しそうに漏らす声が聞こえて、ようやく彼女から唇を離す。
頬を高揚させた早瀬が、熱っぽい目で俺を見上げる。
俺は彼女に微笑みかけると、彼女の耳元に唇を寄せてささやいた。
「俺と付き合ってくれる?」
「あんなキスしといて、今頃それはズルいよ」
ビクリと肩を震わせた早瀬が、俺の胸に額を押し付ける。



