「別に、そんなのはいいよ。そもそも早瀬がいなかったらたぶん選抜試験受けてなかったし。それより、お前も補習のテスト頑張ったな」
「うん。あたしの方こそ、佐野くんのおかげだよ。今日のこれは、お祝いのアイスだね」
早瀬はそう言うと、まだ囓っていないアイスキャンディを囓りかけの俺のアイスキャンディ乾杯するみたいにトンとぶつけてきた。
顔を寄せてきた早瀬が、またにこりと笑う。
その笑顔に、俺の胸はさらに激しくざわついた。
ヤバい。
早瀬の一挙一動がものすごく可愛く見えて、心臓おかしくなりそう。
「佐野くん?」
無言で俯いていると、早瀬が不安そうに俺を呼ぶ。
震えて響いたその声も愛しくて。
気づくと俺は、手にしていた食べかけのアイスキャンディを落として早瀬の手首をつかんでいた。
顔をあげると、彼女の大きな丸い瞳が困ったように揺れる。
早瀬に触りたい。
今すぐぎゅっと抱きしめたい。
そんな衝動に駆られたけれど、困った顔で俺を見つめる彼女を見ていたらその前にほんの少しだけからかってやりたくなった。