彼女が真剣な目で浅井先生を見つめる。
浅井先生は彼女を見下ろしてクッと笑うと、手にしたレポートを顔の横でひらりと振った。
「そうだな。これで補習終了にしてやるよ」
「よかった」
「じゃぁ、これはあとでゆっくり見せてもらうから。あ、佐野。プールの鍵、もうかけちゃっていいか?」
「あ、はい」
浅井先生が彼女から俺に視線を向ける。
頷くと、浅井先生はズボンのポケットから鍵を取り出し、プールの入り口を施錠して職員室に戻って行った。
「ありがとう。昨日レポートのこと教えてくれたおかげで、補習終わったよ」
浅井先生が去ると、彼女が小さく俺に頭をさげた。
そして、「じゃぁ、あたしはこれで」とあっさり立ち去ろうとする。
「あ、ちょっと」
彼女はもう明日からプールには来ない。
頭で何か考えるより前に、歩き出す彼女を引き止める言葉が口をついて出た。



