透明な青、揺れるオレンジ



「さぁ?知らないけど」

体育科の浅井先生は、水泳部の顧問じゃないから補習がなければ夏休みはめったにプールには来ない。

俺が首を振ると、彼女が残念そうに俯いた。


「そっか。せっかく徹夜でレポート書いてきたのに」

呟く彼女をよく見ると、その腕に大事そうに紙の束を抱えている。


「もしかして、レポートでも書いたらって言った俺の言葉間に受けたの?」

だから、今日補習に来なかったんだ。


「あぁ。昨日、バッグとってくれてレポートのアドバイスくれた人だ」

彼女がパチリと瞬きをして笑った。

今まで、昨日喋ったやつが俺だってことに気づいてなかったのか……

フェンス乗り越えてで忘れ物とってやったのに。

まぁ、彼女はきっと俺の名前なんて知らないし、俺も彼女が補習に来てる同じ学年の女子だつてことしか知らないから無理ないか。

そう思いながらも、彼女に認識されていなかったことを心のどこかで少しがっかりしていた。